第106章 中野航平がますます見透かせない

午後。長谷川栞がぼんやりと目を覚ますと、中野航平の姿は病室になかった。

「栞、起きたのね。具合はどう? お腹すいてない? お母さん、チキンスープ煮てきたの。少し飲む?」

ベッドのそばに付き添っていた長谷川明子が、娘の覚醒に真っ先に気づき、慌てて上体を支えて起こす。

「ママ……私、どうしたの?」

目覚めたばかりの栞は、まだ状況が飲み込めずにいた。

「法廷の外で倒れたのよ。びっくりしたわ……。航平くんなんて、もう取り乱してね。あなたを抱えて病院まで走って、途中、赤信号もいくつか――」

そのぶん、この件に関しては明子も航平を悪く思えなかった。

少なくとも、娘の身の安全を本気で最優先に...

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